研究について

研究成果

津波越流時に混成防波堤ケーソンに働く波力に関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 56-1-2 2017年03月
執筆者 鶴田修己・鈴木高二朗・喜夛司・宮田正史・竹信正寛
所属 海洋研究領域 耐波研究グループ
要旨

 2011年の東北地方太平洋沖地震では、釜石湾港防波堤をはじめ、数多くの防波堤のケーソンが津波越流時の堤内外水位差によって被災した。防波堤の耐津波設計において、越流発生時の堤体への作用波力の算定は耐波性能照査の根幹を成す最重要課題である。特に、港内外の水位差が卓越する越流条件下では現行の算定式では実際の作用波圧を推定できず、算定式の改良が喫緊の課題である。
 これまで、津波越流時の波力を評価するため、有川ら(2013)等によって実験が行われ、その結果に基づいて津波越流時の波力式が耐津波設計ガイドライン(2013)に掲載された。しかし、これらの実験はケース数が限られていたため、その後の宮田ら(2014)の実験によって、この波力式では説明できない条件が数多くあることが示された。特に、港内外の水位差が卓越する条件下では堤体背面で現行式からの逸脱が顕著となるが、その物理的メカニズムが明確ではなかった。そこで、これらの条件も満足するための津波越流時の新たな波力算定式が必要となっていた。
 本研究では、津波越流条件下での混成を対象とした水理模型実験および高精度粒子法を用いた数値実験を実施し、実験結果を通して波力の改良型算定式を提案する。また、水理模型実験では、マウンドの透水性の変化や、腹付け工の設置、パラペット型上部工の設置による波力の変動特性を検討するとともに、提案する波力算定式の適用性についても検証を実施する。

キーワード:津波、越流、防波堤、波力算定

全文 REPORT56-1-2(PDF/4,380KB)