研究について

研究成果

波力による防砂板の変形モデルの検討

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 56-1-1 2017年03月
執筆者 鈴木高二朗・武部悠一郎・堀井一樹・西野好生
所属 海洋研究領域 耐波研究グループ
要旨

 岸壁や護岸では、埋立材の吸い出しによる後背地の空洞化と、空洞化による陥没や沈下が発生し、これらの機能が停止することが問題となっている。過去の現地調査より、吸い出しの発生要因の主要因の一つとして、ケーソン等の壁体の目地部に設置した防砂板が破損したことが挙げられる。防砂板の最低規格は技術基準に記載されている。しかし、最低規格は過去に設置された目地板の実績を基に設定されており、目地板を設置する現地条件は考慮されていない。防砂板が破損する背景には現地条件を考慮しなかったことによる強度不足も考えられる。そこで、現地条件に対応した防砂板が設計できるよう、防砂板に作用する外力から必要強度を推定する方法を検討した。 検討では、外力作用時の防砂板のたわみ量から必要強度を推定する算定式を考案した。次に水理模型実験を行い、外力作用時の防砂板のたわみ量を測定し、算定式の結果との比較より推定式の妥当性を確認した。主な結果として、防砂板のたわみ量の実測値は算定式より求められたたわみ量の予測値を下回り、安全性を確保した設計が可能であることが確認された。本実験の結果より、従来と比較して現地での防砂板の強度不足による破損が低減され、埋立材の吸い出しならびに空洞化の発生を抑制することが期待される。

キーワード:護岸、岸壁、防砂板、目地、衝撃波圧

全文 REPORT56-1-1(PDF/3,277KB)