研究について

研究成果

海底液状化土砂流動のダイナミクスと解析法及び実験・現地検証

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 55-2-4 2016年06月
執筆者 佐々真志
所属 地盤研究領域 動土質研究チーム
要旨

 海底地盤は、地震や津波などの多様な外力を受けて、大きく流動しうる。近年のソナー探査や地質調査技術の進展に伴って、沿岸・沖合域双方において数多くの海底地盤流動イベントの報告がなされている。しかし、このような海底地盤流動のダイナミクスについては、現地観測がほぼ不可能なこともあり、未だ不明な点が多い。又、従来の研究は、海底斜面の安定性等の崩壊条件やイベント堆積物の調査・分析に集中しており、当該災害予測・対策に不可欠な「海底土砂流動ダイナミクス」に関して、欧米で未だほとんど進んでいない背景があった。本報告では、世界各地の大規模海底土砂流動イベントとその帰結をレビューすることにより、沿岸防災・減災上の海底液状化流動の重要性を浮き彫りにしている。その上で、筆者が世界に先駆けて開発した海底液状化土砂流動の理論及び解析フレームワークを提示し、実験及び現地挙動の分析を通じてその有効性を包括的に実証している。そして、海底液状化土砂流動の成層構造、減速・再堆積過程、ならびに、その後の斜面・テラスの形成に果たす二相系物理の本質的役割を明らかにしている。得られた知見と開発した理論・解析法は、沿岸域の大規模土砂流動過程の予測や地震・津波による沿岸・海底イベント過程評価への適用展開、及び、沿岸・海洋構造物ならびに海底地すべり津波に対して海底液状化土砂流動がもたらす影響・インパクトの合理的な評価・予測の基盤となるものであり、今後の幅広い活用が期待される。

キーワード:海底地すべり、液状化、津波、重力流、凝固、理論・数値解析

全文 REPORT55-2-4(PDF/2,558KB)