研究について

研究成果

サンゴ礫混じり土の力学特性-人工配合による再構成試料を使ったパラメトリックスタディ-

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 55-2-3 2016年06月
執筆者 渡部要一、金子崇、佐々真志
所属 地盤研究領域 土質研究チーム
要旨

 サンゴ礫混じり土は、フィンガーコーラルに代表されるサンゴ礫が、シルト質からなるマトリックスの中に介在した土である。サンゴ礫が少なければシルトが支配的な力学挙動となり、サンゴ礫が多くなるとシルトとサンゴ礫との複合的な力学挙動を示すものと考えられる。本研究では、サンゴ礫混じり土の力学特性を評価することを目的として、サンゴ礫含有率をパラメータとした一連の三軸試験を通じて以下の知見を得た。サンゴ礫混じり土の強度定数は、サンゴ礫の噛み合わせや粒子破砕の影響を受けるため、サンゴ礫含有率に支配されており、本研究で用いた試料の場合、サンゴ礫の体積含有率が20%を越えるとその影響が現れた。サンゴ礫の体積含有率が20%以下の試料では、CD試験から得られたせん断強さはCU-bar試験から得られたせん断強さよりもわずかに大きいが、両者の差はきわめて小さい。一方、サンゴ礫体積含有率が20%以上の試料では、CU-bar試験から得られたせん断強さは、激しいダイレーションのために原位置では非現実的なほどに大きな負圧が発生し、設計強度としては過大評価になる。CD試験から得られたせん断強さについても、体積膨張のために強度が増加する傾向が見られるが、CU-bar試験の結果に比べるとかなり小さな値となる。サンゴ礫が密に詰まった試料では、せん断抵抗角ϕは一般的な土に比べて非常に大きな値となるが、せん断を続けるとサンゴ礫の粒子破砕によって次第に減少する。

キーワード:サンゴ礫混じり土、サンゴ片、シルトマトリクス、粒子砕波、力学特性、三軸試験

全文 REPORT55-2-3(PDF/2,662KB)