研究について

研究成果

載荷試験を活用した杭の軸方向抵抗力の推定方法

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 55-1-1 2016年03月
執筆者 水谷崇亮
所属 地盤研究領域 基礎工研究チーム
要旨

 港湾の技術基準では、杭の軸方向抵抗力の推定手法として、杭の載荷試験を行う方法が挙げられている。原位置で載荷試験を実施することで、他の推定手法よりも高い精度で杭の軸方向抵抗力を推定できる。しかしながら、載荷試験を行った場合の特性値の求め方や、その特性値を用いる場合の部分安全係数の考え方は明示されておらず、個別に検討されているのが実状である。
 本研究では、既往の研究で示されている杭の載荷試験や、近年実施された杭の載荷試験の結果を収集・分析し、載荷試験結果のばらつきを評価することを試みた。また、その結果を基に、載荷試験結果を用いた杭の軸方向抵抗力の特性値の決定方法や、部分安全係数の考え方を検討した。その際、杭の載荷試験条件を「同一条件」・「類似条件」・「その他の条件」に分類し、それぞれの場合について特性値・部分安全係数の具体的な考え方を検討している。
 検討の結果、杭の軸方向抵抗力の特性値を、載荷試験により求められる母集団平均の75%信頼区間の下限値とする考え方を提案している。この際、試験データが1個であっても特性値が求められるよう工夫した。また、部分安全係数については、「同一条件」の場合について現行の値より低減することが合理的であることを示した。「類似条件」の場合には、一律に判断することは難しいものの、試験条件等を吟味することで、部分安全係数を低減できる可能性があることを示した。

キーワード:杭、軸方向抵抗力、載荷試験、特性値、部分安定係数

全文 REPORT55-1-1(PDF/1,057KB)