研究について

研究成果

港湾におけるブルーカーボン(CO₂ 吸収と炭素隔離)の計測手法のガイドライン

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1309 2015年09月
執筆者 所 立樹、渡辺 謙太、田多 一史、桑江 朝比呂
所属 沿岸環境研究領域 沿岸環境研究チーム
要旨

 港湾環境事業において、CO₂や炭素を海洋中に隔離貯留する(ブルーカーボン)効果を新たな機能として導入することにより、便益の付与や社会的意義の向上が期待される。また、2020年以降の新たな国際的な法的枠組みのなかで、港湾や海岸事業に起因する当該生態系の炭素増減量も国別報告書に含めることが規定される場合には、炭素隔離量やCO₂吸収・排出量の変化を計測し報告する義務が生じることになる。よって、各港湾環境事業によるブルーカーボンによるCO₂吸収量や炭素隔離量の計測手法の確立と、そのガイドラインの作成は喫緊の課題である。
 本資料では、下記の計測対象ごとに複数の計測手法を比較検討することで、港湾環境事業(海域)ごとに最適な手法を決定できるガイドラインを作成した。計測対象は、①参照レベル、②対象面積の時系列変化、③単位面積当たりの炭素フローとストック(大気中CO₂交換量、生物内炭素量、堆積物中炭素量)とした。評価項目としては、技術的な観点ではデータの信頼性が重要であるのに対し、ブルーカーボン事業の普及やCO₂排出量緩和への対応を考慮した場合、計測手法の簡易さやコストが重要な要素となる。そのため、本資料ではデータの信頼性、簡易さ、そしてコストを主な評価項目とした。

キーワード:気候変動、大気中CO₂交換量、生物内炭素量、堆積物中炭素量

全文 TECHNICALNOTE1309(PDF/6,235KB)