研究について

研究成果

桟橋RC上部工の鉄筋腐食モニタリングに関する一検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1307 2015年06月
執筆者 加藤 絵万、山本 幸治、川端 雄一郎、岩波 光保
所属 構造研究領域 構造研究チーム
要旨

 港湾施設を構成するRC構造物の中でも、桟橋RC上部工は、塩害による劣化の進行が極めて速い。このため、鉄筋腐食の進行により、部材の保有性能が要求性能以下とならぬよう、適切に点検診断・評価・対策を実施することが必要とされている。しかし、上部工の定期点検診断では、上部工下面からボートで対象部材に接近しなければならない場合が多い。また、天候や潮汐による調査時間の制約や波浪などにより、点検診断の実施が困難な場合もある。このため、より効率的かつ確実に点検診断を実施するための手法の開発が望まれている。
 一方で、現在、コンクリート中の鉄筋腐食の発生や進行をモニタリングするためのセンサが種々開発されている。しかし、現状では、陸上のRC構造物と比較して、港湾RC構造物では、鉄筋腐食モニタリング技術はあまり活用されていない。これは、効果的かつ効率的な構造物の維持管理を実現するためには、どの部材をモニタリングすればよいのか、どの程度の数量のセンサを設置する必要があるのか等、明らかにされていないことがひとつの要因と考えられる。
 本研究は、桟橋RC上部工の点検診断の高度化に向けた取り組みの一環として、鉄筋腐食センサを設置する部材の選定方法について検討した。具体的には、既存の12施設の桟橋上部工の点検結果から部材ごとの劣化の進行を評価し、どの部材が最も劣化進行速度が大きいか確率的に評価することにより、部材のセンサ設置の優先度を評価した。さらに、目視調査を主体とした従来の定期点検診断を行う場合と、センサを利用する場合について、種々の点検診断計画を想定し、点検診断に要する費用の比較検討を行った。

キーワード:桟橋,点検診断,鉄筋腐食センサ,腐食の発生,劣化進行速度,部材位置

全文 TECHNICALNOTE1307(PDF/1,917KB)