研究について

研究成果

波浪制御を目的とした前垂れ設置による桟橋上部工への塩分供給量低減効果に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1306 2015年06月
執筆者 山路 徹、下迫 健一郎、花岡 大伸、武田 将英、網野 貴彦、羽渕 貴士、津田 宗男
所属 構造研究領域 構造研究チーム
要旨

 港湾構造物の中でも桟橋上部工は、塩害による早期劣化が維持管理上の大きな問題になっている。また既往の研究では、桟橋上部工への塩分供給量は構造条件や波浪条件等によって大きく異なることが明らかとなっている。特に、桟橋上部工に「前垂れ」が存在する場合は、桟橋下面への波の進入が抑制され、コンクリート中への塩分供給量も抑制される傾向があることが確認されている。しかし、前垂れの存在による桟橋上部工の塩分供給量低減効果(表面塩化物イオン量の低減効果)は定量的に評価するまでは至っていない。
 そこで、本研究では「前垂れ」に着目し、「現地実験に基づく表面塩化物イオン濃度の低減効果」、「数値シミュレーションによる波浪抑制効果」等について調べた。その結果、前垂れ下端高さをある位置(今回条件ではL.W.L.+0.5m)より深く設定することで、桟橋上部工への塩分供給量を低減できることが確認された。また、上記の結果は、前垂れによって短い周期の波が部分反射されることや桟橋内部の波高が小さくなることにより、海水飛沫が部材に到達する回数と飛沫の影響度が少なくなるためと考えられた。

キーワード:桟橋上部工,前垂れ,表面塩化物イオン濃度,伝達波,砕波

全文 TECHNICALNOTE1306(PDF/2,693KB)