研究について

研究成果

港湾構造物における鋼管のM-Φ算定法

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1288 2014年09月
執筆者 川端雄一郎、 忽那惇、 加藤絵万、 大矢陽介、 小濱英司、 岩波光保
所属 構造研究領域 構造研究チーム
要旨

 平成19年に改正された「港湾の施設の技術上の基準・同解説(以下、港湾基準)」では、鋼管杭を構造部材とする構造物(以下、杭式構造物)のレベル2地震動に関する偶発状態に対する鋼管杭の照査項目として全塑性が規定されている。近年の杭式構造物では、経済設計という観点から、外径Dが大きく、板厚tが薄い鋼管が用いられる場合が増えており、径厚比(D/t)で100程度の大径厚比の円形鋼管が採用されるケースも少なくない。しかしながら、既往の研究から、径厚比が大きい鋼管は断面計算から算定される全塑性曲げモーメントが期待できないことが指摘されている。大径厚比の鋼管の構造性能を適切に評価できるM-Φ関係算定法の構築が不可欠である。本研究は、道路橋示方書・同解説V 耐震設計編のM-Φ関係算定法を参考に、材料構成則や許容ひずみの計算法を改良することで、大径厚比の鋼管に適用可能なM-Φ関係算定法を提案した。提案した手法は、12種類の載荷実験における最大水平荷重および最大荷重時の水平変位を±30%の精度で算定することができ、D/tが100程度の鋼管に適用可能なことを示した。また、有限要素解析を用いて軸力比が鋼管の構造性能に与える影響について検討し、本論で提案したM-Φ関係算定法に対する軸力比の適用範囲をD/t の関数として提案した。

全文 TECHNICALNOTE1288(PDF/2,451KB)