研究について

研究成果

平面模型実験によるリーフ上護岸の越波量推定法の精度検証-那覇空港増設滑走路護岸を対象として-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1286 2014年06月
執筆者 平山克也、 川内清光
所属 海洋研究領域 波浪研究チーム
要旨

 一様勾配斜面上の単純な護岸に対して提案された合田ら(1975)による越波流量推定図を用いて、リーフ上護岸の越波流量を推定することが試みられている。例えば、宮国ら(2008)は、堤前水深や護岸天端高の設定に必要な潮位を含めた設計水位に、リーフ上の平均水位上昇量及び0.7倍したサーフビート波高を加えるとともに、リーフ上の波高減衰を考慮して、換算沖波波高をリーフ上護岸前面での進行波の短周期波高から算定することを提案した。これらを越波流量推定図に適用して得られる推定値は、断面水路で得られた実験値と良く一致している。また、平山ら(2009)は、リーフ上におけるこれらの波浪諸元の平面分布をブシネスクモデルで算定することを提案した。しかし、このとき推定された護岸越波量に対して計測値による検証は行われておらず、また、沖のリーフ水域を埋め立てて建設される空港島護岸などのように、護岸法線背後の広いリーフ上波浪場がこれらの波浪諸元に与える影響などは考慮されていない。
 そこで本研究では、このような広いリーフ上に設置される空港島護岸を対象として越波量を推定するとともに平面越波実験を実施して、その妥当性を検証した。その結果、リーフ上護岸の越波流量推定法は、護岸法線上の設計波浪諸元が正しく得られる場合にはある程度の妥当性を有しているものの、進行波の波浪変形計算のみで正しい設計波浪諸元が得られない場合には、護岸を設置した計算も行う必要があることが明らかとなった。また、越波排水路を有する護岸越波量の計測結果より、排水路内の水位が低く保たれている場合に護岸越波量の低減効果が期待できることを確認した。

全文 TECHNICALNOTE1286(PDF/4,691KB)