研究について

研究成果

木材の海虫害とその防除法ならびに臨海部の気中での風化に関する実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1281 2014年03月
執筆者 山田昌郎
所属 沿岸環境研究領域 沿岸環境研究チーム
要旨 公共建築物等への木材利用が現在政策的に推進されている。海域の施設への木材利用を図る場合には、木材の劣化要因として、海水中ではフナクイムシやキクイムシなどによる海虫害、海上では紫外線や海水飛沫などによる風化を考慮する必要がある。そこで本研究では、海虫害の樹種による差、海虫害の木材強度への影響、海虫害防除法の効果、土中での海虫害について海中浸漬実験で調べるとともに、臨海部における風化の樹種による差について気中暴露実験で調べた。  その結果、以下のことが明らかになった。(1)15樹種の海虫害を比較したところ、クスノキとカヤの食害が比較的少なかった。キクイムシによる食害と、木材の硬さもしくは比重との間に相関関係が見られた。(2)樹種、形状、寸法、海水浸漬期間に関わらず、強度減少率と質量減少率の関係は一定であり、強度減少率の値は質量減少率の値に対して大きかった。(3)海虫防除法として、ポリエチレンメッシュ(PE100およびPE150)による被覆、熱処理(237.5℃、5時間)、および低分子フェノール樹脂注入処理は、無処理材に比べて食害を大幅に抑制した。(4)試験体を土砂に埋設して約2年間海中浸漬した結果では、土砂に覆われた木材への海虫の付着は生じなかった。(5)臨海部の気中で海水を散布して暴露した結果では、広葉樹材の方が針葉樹材よりも風化による質量・寸法・曲げ剛性の減少の進行が速かった。
全文 /PDF/no1281.pdf