研究について

研究成果

製鋼スラグ混合土の配合・混合条件がその力学特性に与える影響について

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 051-03-02 2012年12月
執筆者 平井壮、水谷崇亮、菊池喜昭、川端雄一郎
所属 地盤研究領域 基礎工研究チーム
要旨  浚渫土を地盤材料として活用するための一つの方法として、近年、浚渫土に製鋼スラグを加えて改質・固化する製鋼スラグ混合土の利用が検討されている。これまでの研究により、製鋼スラグ混合土を海域で使用した場合の環境安全性や底質の浄化作用が確認されている。また、製鋼スラグ混合土の力学特性についても研究が進められているが、実施工後に現地で採取した試料の強度が強度管理用に別途作製した試料の強度を下回った例も報告されるなど、製鋼スラグ混合土の強度に影響を与える要因等については未解明な点が多く残されている。  本研究では、製鋼スラグ混合土の配合・混合条件と強度の変化、またその変化の要因について検討した。はじめに、固化の進展状況と固化に影響を与える要因について調査した結果、浚渫土が製鋼スラグとの接触面から1cm程度の範囲で固化すること、固化には浚渫土中のシリカ・製鋼スラグ中の遊離石灰の溶出に関わる化学平衡が大きく影響することがわかった。このことから、高い強度を得るためには、最適な製鋼スラグの添加量が存在することが予想された。その後、配合条件を様々に変化させた製鋼スラグ混合土の一軸圧縮試験を実施し、その結果を浚渫土と製鋼スラグの乾燥質量比で整理することで、高い強度を得るための最適な乾燥質量比が存在することを確認した。また、製鋼スラグ混合土の強度には、初期含水比(製鋼スラグを添加した直後の含水比)が大きく影響することがわかった。さらに、X線CT装置を用いて製鋼スラグ混合土の供試体を観察し、製鋼スラグ混合土の混合状態と強度、破壊パターンの関係を整理し、とりまとめた。
全文 /PDF/vol051-no03-02_compressed%20%282%29.pdf