研究について

研究成果

造波境界上の水深と方向スペクトルの空間変化を考慮した多方向不規則波の造波とその特性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 051-01-01 2012年06月
執筆者 平山克也、岩瀬浩之、加島寛章
所属 海洋研究領域 波浪研究チーム
要旨  ブシネスクモデルでは、沖側境界から入射させる多方向不規則波形は、一様水深上で与えたある1つの沖波方向スペクトルに対して造波される。このとき沖側境界は、海底地形による屈折・浅水変形や沖の島や岬による回折・反射変形などの影響が少なく、方向スペクトルの空間変化が小さい沖合に設定することが求められるので、計算領域は必然的に広くなる場合が多い。しかし、実務においては、現地の地形特性や計算容量、演算時間等の制約により、必ずしもこれらを満足できないケースも多くみられる。  そこで本研究では、沖側境界を岸側へ寄せた場合などに顕著となる方向スペクトルの空間変化を複数の方向スペクトルで代表させ、これらに対する多方向不規則波を水深が一様でない沖側境界上で造波する方法を提案することにより、ブシネスクモデルとエネルギー平衡方程式法とのカップリング(片方向接続)を実現した。この造波精度の検証は球面浅瀬場を対象として実施し、屈折後の波高・波向分布を直接造波可能であることを示すとともに、このような造波境界(接続境界)は、極端な浅瀬を避けて設定すべきであることを明らかにした。  さらに、岩手県久慈港、富山県伏木富山港で発生した高波災害の再現計算を行い、造波境界における方向スペクトルの空間変化を考慮することにより港湾・海岸施設への被災波の作用状況をより明確に説明できることや、NOWPHASによる波浪観測データが得られた伏木
全文 /PDF/vol051-no01-01.pdf