研究について

研究成果

GPS波浪計で捉えた東北~四国地方太平洋沿岸の沖合波浪特性

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1249 2012年03月
執筆者 河合弘泰、佐藤真、川口浩二、関克己
所属 海洋情報研究領域 上席研究官(高潮防災担当)
要旨 GPS波浪計は、海岸線から10~20km、水深100~400mに係留されたブイの波浪・潮位による上下動をRTK-GPSで計測するものである。全国港湾海洋波浪情報網NOWPHASの新しい観測機器として東北~四国地方の太平洋沿岸には12基が運用されている。本研究では、2008~2010年にGPS波浪計とその岸側(水深20~60m)の沿岸波浪計で観測されたデータを用いて、月別統計量と高波擾乱という2つの視点から、沖合波浪と沿岸波浪を比較した。主要な成果は以下の通りである。  ①東北地方沿岸のGPS波浪計では、月平均有義波の空間的な変化が小さく、冬季に波高・周期が大きい共通の季節変化が見られた。  ②GPS波浪計と沿岸波浪計の有義波高の比率はGPS波浪計地点の波向によって異なる。群速度の伝播時間に応じて時間をずらした有義波高でも、その相関性はあまり変わらない。  ③いわき沖のステップ式波高計と小名浜港の沿岸波浪計、福島県沖のGPS波浪計と小名浜港の沿岸波浪計の組み合わせによる有義波の相関解析によると、福島県沖ではいわき沖とよく似た沖合波浪特性が得られている。  ④GPS波浪計の地点は沿岸波浪計の地点に比べて、波パワーは大きく、波浪静穏率は低い。  ⑤気象擾乱時のGPS波浪計と沿岸波浪計の最大有義波高にも相関性はあるが、一部の気象擾乱ではその相関式から大きくはずれることがある。
全文 /PDF/no1249.pdf