研究について

研究成果

全国港湾海洋波浪観測長期データに基づく日本沿岸の季節別波浪特性の経年変化

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1241 2011年12月
執筆者 関克己、河合弘泰、佐藤真、川口浩二
所属 海洋情報研究領域 海象情報研究チーム
要旨

 1970年以来、全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS)により全国の沿岸で波浪観測が行われてきた。その40年間には、観測地点の水深やその周辺地形、観測機器、データ処理方法などに変化が生じた地点もある。そこで本研究では、NOWPHASのデータの質の長期的な変遷を再検討した。また、24地点における季節別の波浪特性の経年変化、10地点における波浪特性と気候指標(海水温:SST、南方振動指数:SO、北極振動指数:AO、太平洋十年規模振動指数:PDO、北太平洋指数:NPI)の相関性を検討した。得られた主要な結論は以下の通りである。 1) 通年の平均有義波高は、藍島、むつ小川原、常陸那珂、中城湾において増加、波浮で減少の傾向を示している。季節別の平均有義波高でも増加傾向を示す地点がある。 2) 平均有義波周期は、台風より温帯低気圧の影響の大きな地方を中心とする多くの地点で、通年でも季節別でも増加傾向を示している。 3) 波パワーは、日本海側、太平洋側ともに南の地方を中心に、増加傾向を示す地点がある。 4) 通年の最大有義波高は酒田、名瀬、むつ小川原、八戸、冬季の最大有義波高は日本海沿岸、秋季の最大有義波高は東北地方の太平洋沿岸で、それぞれ増加傾向を示している。最大有義波周期の長期変動は顕著ではない。 5) 平均有義波と海水温の相関性に比べて、平均有義波と他の気候変動指標(SO、AO、PDO、NPI)の相関性は低い。

全文 TECHNICALNOTE1241