研究について

研究成果

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震津波の特性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 050-04-01 2011年12月
執筆者 河合弘泰、佐藤真、川口浩二、関克己
所属 海洋情報研究領域 上席研究官(高潮防災担当)
要旨  全国港湾海洋波浪情報網NOWPHASのGPS波浪計、沿岸波浪計、潮位計の観測データによって、2011年3月11日14時46分の平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波の特性を調べた。その結果を要約すると、以下の通りである。  ①岩手北部沖~福島県沖の6基のGPS波浪計(設置水深125~204m)では15時12分~15時19分に高さ2.14~6.13m(地盤沈下の影響を補正した後の値)の最大波を記録した。岩手南部沖では比較的高い波が7波続いた。その第1波の峯は、2段階に立ち上がり、緩やかな峯に鋭い峯が重なったような波形に見える。宮城中部沖では最大波の後に6.00m(補正後の値)も引いた。  ②仙台塩釜港の沿岸波浪計(設置水深21.3m)が津波の第1波の途中まで捉えた範囲でも、高さは6.65m(補正前の値)、流速は3.22 m/sに達した。  ③津波はGPS波浪計、沿岸波浪計、潮位計の順に到達し、岸側で高くなった。  ④関門海峡、有明海・八代海、琉球諸島、北海道のオホーツク海・日本海沿岸のように、東北地方太平洋沖の波源から遠く離れた地点でも津波が観測された。北海道~東北地方の太平洋沿岸では引き、それ以外では押しから始まる地点が多かった。  ⑤海象計による多層の流れの観測によって、津波の流速と流向が鉛直方向に概ね一様であることを示した。
全文 /PDF/90d4a92ef29353c06d18e9aeb5015f9b5e6fc1f0.pdf