研究について

研究成果

繰返し衝撃荷重を受ける鉄筋コンクリート版の残存押抜きせん断耐荷性能

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 050-03-02 2011年09月
執筆者 川端雄一郎、岩波光保、松林卓
所属 構造研究領域 構造研究グループ
要旨  港湾構造物では、設計荷重以上の波力や、消波ブロック、船舶、漂流物の衝突のような衝撃力が作用する場合があり、これらによって損傷に至る事例がある。このうち、消波ブロック被覆堤では、消波ブロックがケーソン前壁に繰り返し衝突し、穴あきに至る局部破壊が発生するケースもある。しかしながら、現行の港湾の施設の技術上の基準・同解説では、ケーソン前壁の局部破壊については考慮されておらず、耐衝撃設計方法の確立が必要不可欠となっている。  本研究は、繰返し衝撃荷重を受ける鉄筋コンクリート版(RC版)の残存押抜きせん断耐荷性能を評価することを目的とし、繰返し衝撃荷重を作用させた四辺支持RC版の静的載荷試験を行った。また、四辺支持RC版の試験結果から得られた知見を二辺支持RC版の押抜きせん断耐荷性能の評価に適用した。その結果、衝撃荷重を受けたRC版の残存押抜きせん断耐力は、押抜きせん断破壊面が明確に形成される前においては健全な場合の8割程度以上であり、押抜きせん断破壊面の形成とともに急激に低下すること、また健全なRC版の押抜きせん断耐力に対する損傷を受けたRC版の残存耐力比を用いることで、繰返し衝撃荷重を受けるRC版の残存性能評価ができる可能性があることが分かった。これらの知見を基に、繰返し衝撃荷重を受けるRC版の性能照査手法を提案し、試設計により照査の流れを示した。
全文 /PDF/e9128a4854134ab6190b600bab59b87f1a45f89b.pdf