研究について

研究成果

沿岸域中型風車の開発・検証と港湾や漁港における自己利用型風力エネルギーの活用に関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1234 2011年06月
執筆者 永井紀彦、白石悟、鈴木高二朗、田中陽二、牛山泉、西沢良史、細見雅生、小川路加
所属 研究主監 研究主監
要旨 本資料は、2005年度から2007年度までの3か年にわたって、港湾空港技術研究所、足利工業大学および駒井鉄工㈱(㈱駒井ハルテックの前身会社)の3者共同研究を発展させ、2008年度から2010年度までの3か年にわたって北海道工業大学を加えて実施した4者共同研究の成果をとりまとめたものである。以下に、主要な成果を述べる。 (1) 中型風車の開発を行い、実機風車を東京湾沿岸に設置し、現地実証試験を実施した。 (2) 現地実証試験結果の結果、強風時についても、風速と発電量の関係は、風車の設計パワーカーブと一致していることが確認され所定の発電がなされていることが確認された。さらに。強風時の風の特性として、突風率や乱れ強度を、東京湾内の洋上風観測点である港湾空港技術研究所アシカ島観測点と比較検討したが、実証試験サイトとアシカ島の間での特性の相違や、既往の設計式との対応を、明らかにするには至らなかった。 (3) ナセル風速の速度比が理論による速度低減率まで低下しなかった理由を検討するため、風洞模型実験を実施した。その結果、ナセル形状による増速効果によって、ナセル風速が上昇する可能性があることが判明した。300kW風力発電機からの実証試験結果による風速比(Ub/Ua)も0.8以上を示しており、本風洞模型実験によって、この風速比を再現することができた。 (4) 北海道日本海沿岸の3港湾と2漁港を対象とした自己利用型エネルギーの活用に関するヒヤリングを行い、通年および既設別の電力需要をとりまとめ、小規模な港湾や漁港では、総量として300kW級の風力発電システムは、需要に見合った量の発電が期待できることを明らかにした。ただし、季節毎の詳細な発電予測量と需要量との間にはギャップも見られるので、夏季の不足分は太陽光発電などを併用して補うことなどの検討も必要となる。
全文 /PDF/no1234.pdf