研究について

研究成果

スラグ細骨材を大量混合したコンクリートの各種特性

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1233 2011年06月
執筆者 川端雄一郎、岩波光保、加藤絵万
所属 地盤・構造部 構造研究チーム
要旨 産業副産物として排出されるスラグ細骨材の有効利用が不可欠となっている。既往の研究の多くでは、スラグ細骨材を用いたコンクリートの品質が普通コンクリートと同等となるよう混合率を制限したり粉体量を増加するといった方策が取られてきた。これらの方策は有用ではあるものの、結果的にコストや手間の増大につながり、必ずしも効果的な方策とはなっていなかった。適材適所という観点から考えると、スラグ細骨材を大量混合したコンクリートを、品質改善を行わなくとも可能な部位に適用することも必要と考えられる。スラグ細骨材を大量混合したコンクリートではブリーディングの増加等による各種特性への影響が懸念される。そこで本研究は、品質改善を行わずにスラグ細骨材を大量混合したコンクリートの各種特性について実験的に検討した。  その結果、スラグ細骨材を大量混合したコンクリートについて、ブリーディング量0.5cm3/cm2以下であれば、ブリーディング量が力学特性に及ぼす影響は小さかったが、1.0cm3/cm2程度の過剰なブリーディングは力学特性を低下させることが明らかになった。また、海洋環境への約1年の暴露の結果、スラグ細骨材を大量混合したコンクリートの耐久性は普通コンクリートと同等であることが示された。さらに、ケーススタディによる施工試験の結果、銅スラグ細骨材を用いたコンクリートの場合、ポンプ圧送による施工が可能な場合には圧送による品質変化は普通コンクリートとほぼ同等であることが分かった。本実験の範囲では、銅スラグ細骨材の混合率が50%以下、ブリーディング量0.3 cm3/cm2以下であればポンプ圧送が可能であった。また、銅スラグ細骨材を70%以上混合したコンクリートはポンプ圧送が困難となるが、ホッパを用いた直接打設により打設可能であることを示した。以上の結果から、適切な打設方法の選択により、スラグ細骨材を大量混合したコンクリートを港湾の無筋コンクリート構造物に適用可能であると考えられた。
全文 /PDF/no1233.pdf