研究について

研究成果

捨石傾斜堤におけるエネルギー損失量に関する実験的研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1229 2011年03月
執筆者 関克己、有川太郎、水谷雅裕、平山克也
所属 海洋・水工部 海象情報研究チーム
要旨 捨石傾斜堤は、入射波が構造物内を通過する際にエネルギーを減衰させることにより沿岸域を防御する構造物である。さらに海水交換が可能な構造物であり、水質改善の面からもメリットのある構造物である。傾斜堤に関する実験は古くからなされてきており、近年では今まで適用が困難であると考えられてきた長周期波に対する検討も行われてきている。しかしながら既往の研究では傾斜堤における反射率と透過率に着目した研究のみであり、傾斜堤によるエネルギー損失量について定量的な評価は行われてきていなかった。  そこで本研究では捨石傾斜堤におけるエネルギー損失量を定量的に評価することを目的とし、3つの異なるスケールの断面水槽を用いて水理模型実験を行った。主要な結論を以下に示す。 1.傾斜堤によるエネルギー損失量は入射波の波形勾配と相関が強く、線形関係で評価できる。つまり波形勾配が大きくなるほどエネルギー損失量が大きくなる。また、不規則波実験の結果は規則波実験と同様の傾向を示す。 2.透過率については概ね近藤・竹田(1983)の実験式により評価が可能である。 3.本研究において3つの異なるスケールによる実験を比較したが、エネルギー損失量、反射率、透過率に関して明確な影響は表れなかった。  また、3次元数値波動水槽による小規模実験の再現計算を行うことにより以下の結論を得た。 1.透過性構造物をモデル化するパラメータの設定において、特に透過後の波形もしくは透過率に対して抗力係数が大きく影響する。本検討の範囲では、慣性係数CM=2.4、抗力係数CD=2.0と推奨値を2倍した値が実験結果を良く再現する結果となった。
全文 /PDF/no1229.pdf