研究について

研究成果

2010年チリ地震津波の波源推定と数値計算

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1228 2011年03月
執筆者 辰巳大介、富田孝史
所属 アジア・太平洋沿岸防災研究センター アジア・太平洋沿岸防災研究センター
要旨  本研究は、インバージョン手法を用いて2010年チリ地震津波の津波波源を推定することを目的とする。インバージョン手法には、GPS波浪計、DARTブイ、チリ沿岸の検潮所における津波観測波形を入力した。本研究で明らかにされたことは、次の2点である。 1)地震波の解析から推定された震源メカニズムに基づく津波波源では、断層が1枚でも複数枚の場合でも、観測記録と比較して計算結果の津波到達時刻が、GPS波浪計やDARTブイにおいて早かった。また計算結果は、震央の北側の検潮所で早く、震央の南側の検潮所で遅く到達した。 2)インバージョン手法で推定された津波波源は、地震波の解析結果よりも陸側および南側に寄り、観測結果と計算結果の一致度が向上した。  津波観測波形から推定した津波波源を用いてSTOC(高潮津波シミュレーター)による津波数値計算を実施した結果、2010年チリ地震津波の伝播特性として、断層の長軸方向に直行する方向で津波が高いこと、日本沿岸では津波到達から2~3時間以上経過するとエッジ波が発生することが示唆された。
全文 /PDF/no1228.pdf