研究について

研究成果

GPS波浪計ネットワークを用いた平成22年(2010年)チリ地震津波の日本沿岸における変形特性の解析

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 049-04 2010年12月
執筆者 河合弘泰、佐藤真、永井紀彦、川口浩二
所属 海洋・水工部 海象情報研究チーム
要旨  全国港湾海洋波浪情報NOWPHASでは東北~四国沿岸の水深100~300mの地点に11基のGPS波浪計を導入しており、これらがネットワークとして初めて2010年チリ津波を捉えた。NOWPHASのGPS波浪計や沿岸波浪計、潮位計で得られた津波波形を解析し、以下の結果が得られた。  ①GPS波浪計において、最大波は0.1~0.3m程度であり、周波数スペクトルでは50min以上の成分が卓越した。38~65kmで近接する三陸沿岸のGPS波浪計の間でも、潮位偏差の波形の峯・谷の変化に違いが見られた。ブイの振れ回りにも津波の影響が現れた。  ②GPS波浪計~沿岸波浪計(水深20~50m)では、主として概ね30min以上の長周期成分が増幅した。沿岸波浪計~潮位計(海岸)では、主として10~20min程度の短周期成分が増幅しており、2003年十勝沖地震津波など2003~2006年に日本周辺で発生した津波と同じ周期での増幅が顕著であった。  ③沿岸波浪計の主力機種である海象計の中には、上・中・下層でほぼ同時刻にほぼ同じ流速で岸向・沖向の流れを繰り返す、津波の振る舞いを捉えたものもある。
全文 /PDF/vol049-no04.pdf