研究について

研究成果

液状化対策としての締固め工法の設計法に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1220 2010年12月
執筆者 山﨑浩之
所属 地盤・構造部 動土質研究チーム
要旨  本論文では液状化対策として締固め工法を用いる場合の設計法について、サンドコンパクションパイル工法(SCP)と静的圧入締固め工法(CPG)をとりあげ、特に圧入時の地盤挙動を土の力学的挙動の観点から考察している。そして、圧入率に関する新しい設定法を提案し、また、施工による地盤隆起量の予測法について提案している。具体的には以下のとおりである。 圧入率の設定に関して、実施工におけるN値増加の実測値と、既往の方法(C法)による予測N値との対応を検討している。そして、既往の方法は実測値と矛盾した予測結果となったことを示し、これは既往の方法で仮定している締固め(密度増加)のメカニズムに問題があることを指摘している。  実施工のデータを分析し、さらにSCPとCPGの施工過程を再現した模型試験を行い圧入による地盤挙動を調べ、新しい締固めメカニズムを提案している。提案したメカニズムは、砂杭やモルタルなどの補給材の圧入を地盤に対する繰返しせん断であると捉え、繰返しせん断に伴う負のダイレイタンシーの蓄積で地盤は圧縮し締固まると考えたものである。  このような仮定に立ち、土の構成式の1つである「おわんモデル」を用いて、圧入率とN値の関係式、すなわち圧入率に関する新しい設定法を提案した。提案法を実測値で検証し、従来法より予測精度が高いことを確認している。  さらに、締固め工法施工時の地盤隆起の予測法を、特にCPGを対象に提案している。地盤隆起予測法は新しいN値予測法(圧入率の設定法)を利用し、これと球状拡張という考え方から構築されている。提案した地盤隆起予測法を現場の観測データと比較して、実務に適用できる精度があることを検証している。
全文 /PDF/no1220.pdf