研究について

研究成果

炭素繊維強化複合材を用いた港湾鋼構造物の補修・補強工法に関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1217 2010年06月
執筆者 加藤絵万、立石晶洋、岩波光保、横田弘、小林朗
所属 地盤・構造部 構造研究チーム
要旨 本研究では、鋼材腐食により部材の剛性や耐力が低下した港湾鋼構造物を対象として、水中硬化形エポキシ樹脂を用いた炭素繊維強化複合材(CFRP)ストランドシート接着工法を提案し、その補強効果について検討した。提案工法により補強した鋼板試験体の引張試験の結果、水中施工を行う場合においても、鋼板の錆層を完全に除去すれば、従来から陸上構造物に適用されている炭素繊維シート接着工法と同等の鋼板-シート間の一体性が確保できること、また、元の鋼材断面積の50%以上が残存していれば、断面欠損部の降伏以前までは鋼板とCFRPストランドシートの完全合成断面として取り扱うことが可能であることが分かった。さらに、人工的に断面欠損を設けた鋼管や実構造物から切り出した鋼管を提案工法により補強し、曲げ載荷試験を行った結果、鋼管の断面欠損部あるいは孔食部の降伏以前までは補強による応力低減効果を得ることができた。しかし、鋼管の断面欠損深さが大きい、あるいは補強によるCFRPストランドシート層の引張剛性が大きくなるほど、鋼管-水中硬化形エポキシ樹脂-CFRPストランドシート間の応力伝達が十分に行われず、提案工法による応力低減効果は低下することが分かった。
全文 /PDF/no1217.pdf