研究について

研究成果

繰返し衝撃荷重を受ける鉄筋コンクリート版の破壊性状

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1216 2010年06月
執筆者 岩波光保、松林卓、川端雄一郎
所属 地盤・構造部 構造研究チーム
要旨  港湾構造物では、衝撃砕波や消波ブロック・船舶等の衝突のような、巨大な衝撃力が繰り返し作用し、部材の局部破壊に至った事例が報告されている。港湾構造物の衝撃荷重に対する現行の部材設計では、時間的、空間的変動の大きい衝撃荷重を簡便な分布形状に置き換え、構造物の静的な耐力と比較して安全性を照査しており、衝撃荷重のばらつきや構造物の動的応答については考慮されていない。したがって、繰返し衝撃荷重に対する設計法の確立および港湾構造物に適用可能な耐衝撃性を向上させる方策の検討が必要である。  本研究では、港湾構造物に作用する衝撃力のうち、防波堤ケーソンの側壁に作用する消波ブロックの衝撃荷重に着目した。そして、一般的な防波堤ケーソンの側壁の一部を二辺支持された鉄筋コンクリート版にモデル化し、これに対する衝撃破壊性状の把握および耐衝撃性向上方策の検討を目的として、重錘落下による繰返し衝撃実験を実施した。その結果、繰返し衝撃荷重によって曲げ降伏から押抜きせん断破壊に移行する破壊モードを確認するとともに、破壊の進行に伴う反力応答や変位応答の推移を把握した。また、耐衝撃性を向上させる方策のうち、短繊維補強コンクリートの使用および鉄筋比の増大に高い効果が認められた。さらに、既往の研究で提案された衝撃荷重を受ける鉄筋コンクリートはりの最大変位および最大支点反力の算定方法が、二辺支持された鉄筋コンクリート版にも適用できる見込みを得た。
全文 /PDF/no1216.pdf