研究について

研究成果

高炉水砕スラグ硬化促進工法の現場適用性の検討

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 049-02-02 2010年06月
執筆者 菊池喜昭、岡祥司、水谷崇亮
所属 地盤・構造部 地盤・構造部長
要旨  本報告では、港湾工事でケーソンの裏込めに用いる高炉水砕スラグの硬化促進工法を現場に適用する場合の課題について検討した。  はじめに、硬化促進のための添加剤について検討した。高炉水砕スラグの硬化を促進するには、スラグ微粉末のほかに、水酸化カルシウムも有望であることが分かった。本研究では、硬化促進添加剤としてはスラグ微粉末に限って検討することにした。スラグ微粉末を高炉水砕スラグに添加する硬化促進工法を現場に適用する場合の課題として、施工時の材料分離、施工後の材料分離、混合状態の良否による強度発現傾向の違い、間隙水の移動が硬化に及ぼす影響、地下水の淡水化が硬化に及ぼす影響について実験室内で検討した。  検討の結果、高炉水砕スラグとスラグ微粉末の混合物は堆積後には分離する可能性が低いが、施工時には分離する可能性があることが分かった。また、分離した場合には、硬化促進効果が低下する傾向があることが分かった。そこで、施工時の分離抵抗性を高めるため、「事前混合」処理を行うことを推奨する。「事前混合処理」とは、含水比10%程度の高炉水砕スラグと8~10%の高炉スラグ微粉末を混合し、一週間程度気中養生させる処理のことである。この処理をすることによって、施工時の材料分離が抑制されるほか、硬化促進効果が十分にあることが分かった。  「事前混合処理」を施した高炉水砕スラグは、海水下で硬化しやすく、淡水下では硬化しにくいが、海水環境に1.5カ月以上置かれていれば、液状化対策に必要な硬化強度を発現することが分かった。
全文 /PDF/vol049-no02-02.pdf