研究について

研究成果

高地下水位下にある埋立軟弱地盤上の空港滑走路舗装構造に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1212 2010年03月
執筆者 金澤寛
所属 理事長 理事長
要旨  本研究では、東京国際空港沖合展開事業第Ⅲ期地区に整備された新C滑走路に関わる調査、設計、施工ならびに供用後の性能評価について論じた。東京国際空港沖合展開事業第Ⅲ期地区の地盤は、もともと軟弱な在来沖積粘土層が30~40m堆積した原地盤の上に、京湾の浚渫ヘドロや東京都内より発生する建設残土で埋め立てられた超軟弱な廃棄物処分場である。このような地盤上に厳しい平坦性が要求されている空港滑走路を整備するに当たって必要となる、高地下水位下での舗装の設計・施工方法、既設の空港舗装の解体に伴って発生する材料の再利用方法、そして供用開始後の舗装状態を確認する方法について考察した。  軟弱地盤の改良に関する研究においては、既往の理論を発展させた設計法の適用を図るとともに、施工における創意工夫により目標とした地盤改良効果を得ることができた。  路床改良に関する研究においては、高地下水位下で路床まで水浸することが想定される場合には、通常の方法により算定される設計CBR値を水浸状態に応じて100%~80%に低減する必要があること、路盤までが水浸状態になる場合には、上層路盤にアスファルト安定処理材を用いるほかに、下層路盤の一部を安定処理化する必要があることがわかった。  舗装材料の再利用に関する研究においては、再生骨材配合率を最大で70%とした再生加熱アスファルト混合物が基層および上層路盤として、また、アスファルトコンクリート再生骨材とセメントコンクリート再生骨材を2:8の割合で混合するとにより下層路盤として適用可能であることがわかった。  最適構造に関する研究においては、舗装および路床をフィルター層で取囲み、路床下部に排水層を設置した構造は、舗装体への地下水の浸入を阻止することができ、舗装の劣化を防ぐことができることがわかった。  供用10年経過後の性能は、表面状態ならびに構造状態のいずれの点においても満足できるものと認められ、このことから、本研究において新たに確立した耐水性を有する舗装構造は、地下水位が高い状態でも十分満足できていると確認できた。
全文 /PDF/no1212.pdf