研究について

研究成果

2009年サモア諸島津波の現地調査

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1211 2010年03月
執筆者 有川太郎、辰巳大介、松﨑義孝、富田孝史
所属 津波防災研究センター 主任研究官
要旨  2009年9月30日2時48分(日本時間)サモア諸島南方(南緯15.3度、西経171.0度)を震源としたマグニチュード8.3の地震による津波は、サモア諸島に大きな被害を及ぼした。独立行政法人 港湾空港技術研究所は、来襲津波や被害実態を明らかにするために、2009年10月12日~21日の間、サモア独立国に以下に示す緊急調査団を派遣した。  今回の緊急調査では、国際調査団の一員として、特に大きな被害のあったサモア独立国を対象にして、津波の痕跡を測定することにより来襲した津波の高さを明らかにするとともに、住民からの聞き取りから津波の来襲状況を把握した。  今回の調査で得られた結果は、以下の通りである。 ・地盤高が2m~3m程度あるが、浸水高が6mを超える地区では村がほぼ全壊に近く、浸水高が4,5mのところでは一部から半分程度破壊されていた。水高が3m程度のところでは護岸の高さとほぼ同じである場所が多く、大きな破壊は見られなかった。 ・避難をした人々の多くは、津波を見るか、来襲する音を聞いてから逃げているため、住民の近くにしっかりとした避難場所を作ることは重要である。また、避難訓練の徹底を行い、地震が来たら津波がすぐに来ることが多いということを知り、地震が来たらすぐに避難することも習慣づけるのが良い。  また、津波の来襲時間が早いことから警報の伝達手段を考え直す必要がある。 ・護岸の高さと津波の高さがほぼ同じところでは浸水範囲を抑える効果を発揮しているため、護岸の整備をきちんとしておくことにより津波による被害を軽減できる。
全文 /PDF/no1211.pdf