研究について

研究成果

全国港湾海洋波浪観測年報(NOWPHAS 2008)

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1209 2010年03月
執筆者 河合弘泰、佐藤真、川口浩二
所属 海洋・水工部 海象情報研究チーム
要旨  国土交通省(2001年3月以前は運輸省)港湾局は1970年以来、関係機関との相互協力の下、全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS:Nationwide Ocean Wave information network for Ports and HArbourS)を構築し、全国の沿岸で波浪観測を実施してきた。本資料は、1970年から刊行してきた波浪観測年報の2008年版であり、2008年 1月から12月までの1年間の観測データを統計解析した結果や、主要な気象擾乱とそれによって出現した波浪について取りまとめたものである。  本資料には以下の63地点(*印はGPS波浪計)を掲載している。  日本海沿岸海域:留萌、石狩新港、瀬棚、青森、深浦、秋田、酒田、新潟沖、直江津、富山、伏木富山、輪島、金沢、福井、敦賀、柴山、柴山(港内)、鳥取、境港、浜田、藍島、玄界灘  東シナ海沿岸海域:伊王島、熊本、名瀬、那覇  オホーツク海沿岸海域:紋別(南)  太平洋沿岸海域:釧路、十勝、苫小牧、むつ小川原、八戸、久慈、釜石、宮古、石巻、仙台新港、相馬、小名浜、常陸那珂、鹿島、第二海堡、アシカ島、波浮、下田、清水、御前崎、伊勢湾、潮岬、神戸、小松島、室津、高知、上川口、苅田、細島、志布志湾、鹿児島、中城湾、平良沖、石垣沖、岩手県南部沖*、宮城県中部沖*  これまで全国港湾海洋波浪観測網では、主に海底の水圧式または超音波式の波高計で観測を行ってきたが、2007年3月からGPS波浪計(一点係留ブイに搭載したGPSでブイの挙動を1s間隔で測定するもの)による観測も始まった。そこで本資料は、波浪観測年報として初めてGPS波浪計を掲載する。  これら63地点のうち、5s間隔の連続観測による長周期波解析は55地点、周期帯表示に伴うスペクトルの出現統計解析は63地点、0.5s間隔(GPS波浪計は1s間隔)の連続観測による20分毎の連続した波浪観測統計は53地点で実施した。  2008年に既往最大有義波を更新した地点は以下の3地点である。  富山:H1/3= 9.92m,T1/3=16.2s,2月 24日16時(波浪観測年報掲載は2002年以降)  輪島:H1/3= 7.73m,T1/3=13.2s,2月 24日12時20分(波浪観測年報掲載は1979年以降)  柴山:H1/3= 6.88m,T1/3=10.6s,2月 24日 3時 0分(波浪観測年報掲載は1996年以降)  これらは何れも富山湾沿岸に寄り周り波の被害が生じた際の低気圧によるものであり、本資料にはこのときに各地で観測された波浪も掲載している。
全文 /PDF/no1209.pdf