研究について

研究成果

無処理木材の東京湾沿岸での海虫類食害ならびに気中での物理的劣化に関する実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1208 2010年03月
執筆者 山田昌郎
所属 海洋・水工部 沿岸環境研究チーム
要旨  近年、環境面から木材の利用拡大が望まれている。港湾の施設に木材を利用する場合、海中の部材では海虫類(キクイムシ、フナクイムシなど)、海上の部材では物理的要因(気象作用など)が主な劣化因子となる。そこで本研究では、海虫類食害の季節性、樹種の影響、強度への影響を、横須賀での実海水への浸漬実験で調べるとともに、海上の気中での物理的劣化への樹種の影響を横須賀での沿岸大気中暴露実験で調べた。  海水浸漬実験の結果では、キクイムシによる食害速度には木の硬さの影響が大きかったのに対し、フナクイムシによる食害速度は木の硬さによらず、イチョウ、サワラ、コウヤマキ、クスなどの樹種で小さかった。また、海虫類の食害を受けたスギ材の圧縮、曲げ、引張強度は、重量減少率からの予想以上に減少していた。一方、気中暴露実験の結果、海水散布を与えた条件では、一般的な知見とは逆に、広葉樹の方が針葉樹よりも寸法減少(物理的な劣化)が大きかった。
全文 /PDF/no1208.pdf