研究について

研究成果

海上の進入灯点検桟橋に対する揚圧力算定式の提案

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1201 2009年09月
執筆者 齋藤英治、平山克也、春尾和人、平石哲也
所属 海洋・水工部 波浪研究チーム
要旨 我が国は周囲を海に囲まれた島国であるため、海上埋め立てや桟橋工法による海上空港が全国で整備されている。また、既存の空港においても滑走路延長部は海上へ拡張されることが多く、拡張部の構造は海上空港と同様になる。一方、航空機の安全な離発着には進入灯が必須であり、これらの海上空港では、進入灯は海中に設置された孤立塔列となっている。これらの進入灯の点検を行うためには桟橋を設ける必要があるが、荒天時に点検用桟橋に作用する波力や揚圧力については計算式が提案されていない。そこで、本研究では、このような桟橋あるいは幅の狭い構造物にかかる揚圧力推定式を水理模型実験を行うことにより検討した。  実験の結果、進入灯桟橋のように、消波工で被覆された護岸から沖側に張り出した桟橋の揚圧力は、重複波の腹位置となるX/L≒0.5(ここで、Xは護岸からの距離、Lは入射波の波長)において、最大揚圧力が発生し、護岸との取付部を含むX/L≦0.5の範囲では、従来どおり、桟橋式護岸に対して提案された伊藤・竹田(1967)の式pk=4ρ0gHを適用することが妥当であることが確認された。一方、これより沖側(X/L>0.5)では、重複波の腹位置であっても最大揚圧力はそれほど顕著には卓越せず、対象位置での(重複)波高に対する相対クリアランスS/Hに応じて、設計揚圧力を低減できることが確認されたため、伊藤・竹田(1967)による振動限界重量の算定式の係数を修正することにより、新たな設計式2式を提案した。さらに、不規則波浪作用中における揚圧力分布を明らかにし、繰り返し荷重としてはP/ρgH=0.6以下の荷重が全体の80%以上を占めることを確認した。なお、本実験で使用した桟橋模型は床版底面に桁部を有する構造であったが、得られた実験結果において空気圧縮による影響は見られなかった。
全文 /PDF/no1201.pdf