研究について

研究成果

水・堆積物界面での溶存酸素輸送に対する流動の影響-粗度の影響を考慮した理論的考察-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1194 2009年03月
執筆者 井上徹教、中村由行
所属 海洋・水工部 沿岸環境研究チーム
要旨 水・堆積物界面における溶存酸素(DO)の輸送速度を評価するため、積物表面の粗さと堆積物中での生化学的な反応を考慮した数理モデルを構築した。計算結果から、無次元化したDO輸送速度(スタントン数、St)には特徴的な傾向がみられ、滑面においては粗さのレイノルズ数(Re*)の増加に伴い単調に増加し、粗滑遷移領域において滑面における3-4倍程度の極大値をとった後、完全粗面の条件下(Re* > 100)では単調に減少することがわかった。これは粗度要素間に死水領域が生じるためである。この結果は熱物質輸送工学の分野での既存の結果と定性的には一致するが、定量的にStを評価するためには堆積物中での生化学的な反応を考慮し、水・堆積物界面におけるDO濃度を評価する必要があることがわかった。さらに、定量的なStの評価には粗度要素間の水塊交換率を定式化し、水塊交換に伴う非定常過程を考慮する必要があることがわかった。
全文 /PDF/no1194.pdf