研究について

研究成果

清水港を対象とした数値計算による係留船舶への津波影響の評価

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1190 2009年03月
執筆者 米山治男、大垣圭一
所属 海洋・水工部 海洋研究チーム
要旨  近い将来、東海・東南海・南海地震によって津波が発生すると予測されており、この津波は太平洋沿岸の広範囲に到達すると推定されている。港湾内には多くのインフラが集約されており、重要な場所であるにも関わらず、港湾内に係留された船舶は津波に対して対策がなされていないというのが現状である。そこで、本研究では、中央防災会議で検討された想定東海地震津波に対して、清水港を対象として津波数値計算と船体動揺計算を行うことにより、津波が係留船舶や係留施設へ与える影響を船型や係留方法に対して評価した。  その結果、以下のことが明らかとなった。 1) 東海地震による津波に対して清水港の4箇所のバースを対象とした場合、津波は主にバースに沿って流れ、津波の影響は係留船舶のサージに対して大きくなる。 2) 一般に係留船舶の船型が大きいほどその固有周期は長くなるため、津波周期と一致しやすくなり、船舶の動揺も大きくなる。このため、船型の大きい船舶が係留施設へ与える影響は大きくなる。 3) 通常用いられている標準的な係留方法で船舶を係留した場合、津波によって、ヘッドラインやスターンラインに比べてブレストラインやスプリングラインといった短い係留索の張力が大きくなる傾向がある。 4) 全ての係留索を通常よりもそれぞれ2~4倍程度長く取った場合、係留船舶の水平面内動揺は大きくなるが、全ての係留索にある程度均等に張力がかかるようになる。 5) 本研究で検討した5種類の係留方法の中では、係留索を長く取る方法が津波に対して効果的な係留方法であると考えられる。
全文 /PDF/no1190.pdf