研究について

研究成果

震央位置を利用したインバージョン手法によるリアルタイム津波予測

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 047-03-03 2008年09月
執筆者 辰巳大介、冨田孝史
所属 津波防災研究センター 研究官
要旨  本研究は、沖合津波観測情報を利用して、沿岸部の津波の挙動を、詳細かつ高精度に素早く予測する技術を開発するものである。リアルタイム津波予測の手法としては、インバージョン手法を採用した。研究で明らかにした事項は、次の5点である。 ・津波波源は震央の周囲に分布するというという先験情報を利用することにより、インバージョン手法の予測精度を向上させた。初期水位分布の真値と推定値の二乗平均平方根誤差は、震央位置を考慮しない場合と比較して10%~70%に縮小された。 ・南海トラフ周辺を対象にした数値実験において、改良したインバージョン手法の精度検証を行った。5基のGPS波浪計が地震発生後15分間に取得する観測津波波形を用いた場合、初期水位分布の真値の最大値に対して10%程度の二乗平均平方根誤差で初期水位分布を推定することができた。沿岸の津波波形に関しては、第1波の押し波の最大値や水位変動開始時刻がある程度正確に予測できた。 ・単位津波データベースの構築に関する要件を整理した。単位波源の1辺の長さは13.5km、単位波源の隆起形態は3次元曲面状が妥当であった。 ・津波観測時間、津波観測点の個数や配置、観測誤差が予測精度に及ぼす影響を感度分析により明らかにした。 ・初期水位分布の真値が未知の場合でも、間接的に予測精度を評価する指標として、条件数とディリクレスプレッド関数が有効であることを確かめた。
全文 /PDF/vol047-no03-03.pdf