研究について

研究成果

2007年ソロモン諸島津波の現地調査報告

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1179 2008年06月
執筆者 富田孝史、有川太郎、辰巳大介、本多和彦、東野洋司、渡辺一也
所属 津波防災研究センター 上席研究官
要旨  2007年4月2日7:40(現地時間)に、ソロモン諸島沖でM8.1の地震およびそれに伴う津波が発生した。この地震及び津波による被害はソロモン諸島西部の島嶼で52名が亡くなる大きなものであった。津波は、海底および陸上地形の影響によりその来襲特性を変化させ、発生する被害は地域の社会的、経済的、文化的特性などに影響される。このため、港湾空港技術研究所では被災直後に、津波の特性や被害状況を把握するために現地調査を実施した。本資料は、その現地調査の結果、および津波の全体像を把握するために行った数値計算の結果を報告するものである。本研究で明らかになった事項は、次の4点のとおりである。 ・ソロモン諸島西部では、シンボ島北部やギゾ島南岸で平均4~5mの大きな浸水高さが測定された。一方、ベララベラ島南部東岸やギゾ島東部北岸は2m未満の浸水高さであった。 ・サンゴ礁で形成されるリーフや島嶼、高い地盤高、高床式住居が津波被害を低減した。また、海岸線から近いところに丘陵地があり、即時の鉛直避難が人的被害を低減した。 ・数値計算結果から、津波のエネルギーが、断層の短軸方向に相当する北東-南西方向へ主に伝播したと考えられる。 ・数値計算によると、震源近い島嶼海域に津波が捕捉されるため、それら島嶼の周辺では津波は高くなるが、その背後には津波が伝わりにくくなる傾向にあった。
全文 /PDF/no1179.pdf