研究について

研究成果

海象計による流況観測データを用いた東京湾第二海堡における残差流の変動特性に関する解析

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1168 2007年12月
執筆者 田中陽二、永井紀彦、鈴木高二朗、清水勝義
所属 海洋・水工部 沿岸環境領域
要旨  東京湾の第二海堡にはNOWPHASの一環として海象計が設置されており、0.5 秒間隔で3層の流速データが観測されている。その観測データを有効活用し、第二海堡周辺における流動特性を把握することが本研究の目的である。2006年4月から2007年3月までの流速データを解析し、その結果を取りまとめ、以下のことが明らかとなった。  (1) 流速データを用いて多分潮の調和解析を行う際に、AICを用いることで最適な分潮の組み合わせを自動的に行うことが可能となった。  (2) 残差流は表層約13mまでが流出傾向、それより下が流入傾向となっており、密度流によるエスチャリー循環となっている。各月のエスチャリー循環の大きさは東京湾に流入する河川水の月中央値に対応している。  (3) 強い北風が連吹すると第二海堡の底層で湾内に流入する流れが生じる。これは風によって表層で流出する流れが促進され、その補償流として底層で流入する流れが生じるものと考えられる。  (4) 月平均流速は11月~5月は流出、6月~10月は流入していた。これは東京湾フェリー観測データによる月平均断面流速結果と同様の傾向を示しており、湾口部と第二海堡周辺の流況の関連性が明らかとなった。  (5) 外洋から高塩分水塊が接近すると重力循環によって東京湾の底層に潜り込む。高塩分水塊は以前の底層水塊を押し上げるため、湾奥部でも全層で塩分が上昇する。このようなメカニズムが推定された。
全文 /PDF/no1168.pdf