研究について
研究成果
地震動継続時間の違いによる砂地盤の液状化に関する振動台実験
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1167 2007年12月 |
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執筆者 | 金田一広、山﨑浩之、永野賢次 |
所属 | 地盤・構造部 動土質研究室 |
要旨 | 今後発生が懸念される東海・東南海地震のような海溝型巨大地震は、地震動の継続時間が長くなり、1 分を越えると予測されている。このような継続時間の長い地震動が現行の液状化判定にどのように影響するか検討が必要である。継続時間が長くなると地盤に衝撃を与える回数が増すため、液状化抵抗が下がることが予想される。一方で、継続時間が長くなると間隙水が排水され液状化強度が増加することも予想される。本研究では、継続時間の違いによる砂地盤の基本的な液状化特性を把握することを目的として小型振動台実験を行い、以下のような知見を得た。 まず、水平に堆積された砂地盤を作製し、ゆるい地盤と密な地盤を対象に振動台実験を行っている。ゆるい地盤は液状化後に高い過剰間隙水圧比がしばらく続くが、密な地盤は加振中・加振後すみやかに過剰間隙水圧の消散が見られる。最大加速度の違いもあるが、継続時間が長くなると過剰間隙水圧の消散が遅れ、地盤の沈下量も増加する傾向にある。骨格構造(構造・過圧密・異方性)が考慮できるSYS カムクレイモデルを搭載した水~土連成動的/静的有限要素解析(解析コード:GEOASIA)を用いて、振動台実験をシミュレートした。その結果、加振中・加振後に排水による地盤の沈下ならびに間隙水圧の時刻歴応答についてある程度の整合性が得られた。 ケーソン式岸壁の振動台実験を行い、継続時間の違いによる砂地盤の液状化およびケーソンの変位について調べた。ゆるい地盤で継続時間の短い場合には、加振終了後に側方流動によるケーソンの変動が観測された。これは、裏込め砂が液状化して高い過剰間隙水圧比がしばらく続くことに起因することを示した。ゆるい地盤より密な地盤ほど継続時間の影響があることを示した。また、不規則波での実験を行った結果、ケーソンの変位は継続時間、最大加速度などに影響があり、また、不規則波を規則波に換算するには密度の影響もあることも示した。 |
全文 |
/PDF/no1167.pdf
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