研究について

研究成果

2006年の台風等による高波の観測結果(NOWPHAS 2006特別号)

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1160 2007年06月
執筆者 清水勝義、佐々木誠、永井紀彦
所属 海洋・水工部 海象情報研究室
要旨  1970年以来、国土交通省(2001年3月以前は運輸省)港湾局では関係機関による相互協力の下に、全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS:Nationwide Ocean Wave information network for Ports and HArbourS)を構築し、日本全国の沿岸海域における波浪観測を実施している。 港湾空港技術研究所では取得された観測記録の処理および統計解析を分担し、その成果をこれまで波浪観測年報として毎年港湾空港技術研究所資料として報告している。本報は、先例となる異常波浪観測資料に倣い、2006年に見られた特筆される顕著な高波観測結果をとりまとめたものである。  以下に本資料で明らかにされた内容を箇条書きで示す。 ①台風0612号は、本土上陸はしなかったものの、最盛期の中心気圧は920hPa、北緯35度線通過時においても中心気圧は965hPaという、稀に見る大型で強い勢力を保ち、太平洋沖を通過したため、周期15sを超える顕著なうねりが太平洋北東岸で顕著に見られた。 ②台風0613号は、沖縄県石垣島付近で最盛期となり中心気圧は925hPaまで発達した後、進路を北方向から北東方向に変え、九州北西岸をかすめ、日本海を進んだ後、北海道北部に上陸しオホーツク海側に抜けるまで、強い勢力を保った台風であり、沖縄県や九州西岸をはじめとした我国全体の沿岸海域に高波浪をもたらした。 ③台風0616号と0617号崩れの低気圧は、前線を伴った別の低気圧とあいまって、太平洋北東岸で強い温帯低気圧となり、太平洋北東岸で記録的な高波が観測された。 ④これらの観測結果については、ゼロアップクロス解析による有義波としてばかりでなく、スペクトル解析に基づく周期帯波浪表示や方向スペクトルの図化を通じて、とりまとめられた。
全文 /PDF/no1160.pdf