研究について

研究成果

2006年ジャワ島津波の現地被害調査報告

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1157 2007年06月
執筆者 辰己大介、藤間功司、Subandono Diposaptono、富田孝史、高橋重雄
所属 津波防災研究センター 特任研究官
要旨  2006年7月17日に発生したジャワ島津波は、インドネシア国ジャワ島を中心に600名以上の方が亡くなられる、大きな津波被害をもたらした。本資料は、津波発生直後に著者らが実施した現地被害調査の結果を基に、ジャワ島津波の全体像を把握し、今後の津波防災に資する情報を提供することを目的とする。本資料で明らかになったことは次の3点である。 1。現地被害調査および関連資料の分析から、ジャワ島南岸の東経108°から東経110°15′に至る広い範囲で、高さ3~5mの津波が来襲したことが分かった。 2。パンガンダランのような陸繋島や砂丘地形での浸水・津波被害を把握し、津波被害を拡大させる地形上の要因や構造物・漂流物関連の要因を明らかにした。トンボロ地形、砂丘を断ち切る河口部、海岸に通じる道路や路地、漂流した漁業用ボートは、津波被害を拡大させる要因である。また砂丘は津波防災上有効な地形であるが、津波が越流した場合は、砂丘背後の下り斜面で津波の勢いが増す危険性もある。 3。初期波源の精度は悪いものの、津波がジャワ島南部に広がる水深3000m以深の袋地を東進し袋地の行き止まりで北側に屈折することにより、波源から離れたジョグジャカルタ特別区まで来襲することを、津波数値計算で示した。
全文 /PDF/no1157.pdf