研究について

研究成果

弾性を有する浮体の運動と係留張力に関する多方向波実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1151 2007年03月
執筆者 平石哲也、奥野光洋、遠藤敏雄
所属 海洋・水工部 波浪研究室
要旨  建設工期が短い海上施設として大型の長大ポンツーンの設置が注目されており、メガフロートと呼ばれる小型海上空港の実証実験も実施されてきた。また、海上空港の拡張案の一試案として大型浮体式空港が検討される場合もあり、河口部における流れを阻害しない浮体形式として平板による半没水型(セミサブ型)浮体の部分的な採用が検討された。そこで、本実験では、①単純な矩形浮体(ポンツーン)とセミサブ型および両者を組み合わせた複合浮体構造の動揺量と係留力を検討した。また、②単純な矩形浮体の動揺低減のための消波工を検討した。  実験の結果、多方向不規則波中でも、ポンツーン型に比べて、セミサブ型浮体の動揺量が小さくなることが確認できた。ポンツーン型大型浮体は構造が単純で、メンテナンスコストなどを除くと設置条件によっては工費が比較的少ないという長所を有するが、作用波高が吃水と同規模になると浮体端が水中より浮き上がり、スラミング現象によって上下動が大きくなってくる。複合浮体構造を用いた場合には、セミサブ部分であっても鉛直変位の振幅は、ポンツーン型とほぼ同程度になり、セミサブ型の長所を活用することが困難であった。また、短周期波作用時に直立壁面で反射波が顕著に生じて、周辺海域へ影響を及ぼす短所を有する。  消波工としては、開口率20%のスリット型動揺低減工を開発し、その効果を模型実験で検討した。長さ750m の長大浮体の1/50 縮尺模型を多方向不規則波も造波できる平面水槽に設置して、浮体動揺量と係留力を測定したところ、従来から提案されてきた水平板式と同程度の動揺低減効果を有することが判明した。またスリット式動揺低減工を取り付けた浮体の係留力は水平板式より小さくなり、浮体からの波の反射率は、0.5 程度まで小さくすることができた。
全文 /PDF/no1151.pdf