研究について

研究成果

鋼製遮水壁の遮水性能と適用性に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1142 2006年09月
執筆者 渡部要一、吉野久能、柿本龍二、山田耕一、鵜飼亮行、沖健、岡由剛、喜田浩、永尾直也、望月武、木下雅敬
所属 地盤・構造部 土質研究室
要旨  海面処分場の多くは、厚く堆積した粘土地盤上に建設され、底面の遮水性能は十分に確保されていることから、底面遮水層まで確実に根入れでき、かつ、護岸本体工と遮水工とを兼ねる鋼矢板または鋼管矢板で構成される鉛直遮水工は、海面処分場における確実な遮水を実現するための重要な工法の一つと考えられている。  本文では、鋼矢板または鋼管矢板等の鋼製矢板の継手部の遮水性能をさらに高め、より信頼性の高い廃棄物埋立護岸を実現するために開発された7 種類の工法について、その施工性や遮水性能を確認するため、実海域(呉港)において実施した、施工性ならびに遮水性に関する実験結果を報告する。遮水工について、性能を評価するための施設を設計・施工し、水張り試験を実施することによって、継手部の遮水性能を評価した。遮水工は約1 年間存置した後、油圧ジャッキなどにより鋼製矢板に強制変形を与えて、遮水工の性能として求められる変形追随性についても検討した。その結果、今回の実証実験に供された各遮水継手は、実海域においても基準省令を十分満足する遮水性能を実現可能であり、施工性などの観点からもいずれも実用に供する工法であることが確認できた。  これらの実験結果を踏まえて、各遮水工の適用性について整理した。くわえて、基準省令で求められる遮水機能のみならず、遮水機能のバックアップ・検査・モニタリング・補修等を可能になるフェイルセーフ機能を考えたときに、各遮水継手の組み合わせを想定し、どのような構造を選定したら何が実現できるかなどについて検討した。
全文 /PDF/no1142.pdf