研究について

研究成果

建設後30年以上経過した桟橋上部工から切り出したRC部材の劣化性状と構造性能

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1140 2006年09月
執筆者 加藤絵万、岩波光保、山路徹、横田弘
所属 ライフサイクルマネジメント支援センター 特任研究官
要旨 本稿は、塩害を受けた桟橋上部工から切り出したRC 部材の劣化性状に関して種々の調査を行い、RC 構造物の性能評価における不確定性に関する資料を提供することを目的としてとりまとめたものである。特に、1) コンクリートの力学的性質およびコンクリート中の塩化物イオン浸透性状調査、2) 鉄筋の腐食性状調査、3) 鉄筋腐食に対する非破壊評価結果を基に、劣化性状の非一様性やその要因、また、それらがRC 部材の保有性能に及ぼす影響について考察した、また、桟橋上部工より切り出したRC 床版を対象に、4) 塩害がRC 部材の構造性能に及ぼす影響についてもあわせて検討し、特に、目視により判定される劣化度と部材の耐荷性低下の関係について把握した。その結果、1) 劣化によってコンクリートの力学的性質や塩化物イオン浸透性状はばらつくため、最適なコア採取手法や採取したコアの信頼性に関する検討が必要であること、2) 腐食した鉄筋の力学的性質は、断面形状の不均一性によりばらつきが大きくなること、3) 鉄筋腐食性状の非破壊試験の測定誤差や精度のばらつきを低減するためには、コンクリートを十分かつ均一に湿潤状態にさせること重要であること、4) 本検討の範囲では劣化度A~C のRC 部材において構造性能の低下が見られ、それらの構造性能を精度よく評価するためには鉄筋の腐食性状を把握することが必要であることが考察された。
全文 /PDF/no1140.pdf