研究について

研究成果

剛性が不連続な超大型浮体の波浪中弾性応答計算-剛性不連続部のモデル化に関する考察-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1135 2006年06月
執筆者 桃木勉、米山治男、平石哲也
所属 地盤・構造部 海洋構造研究室
要旨  ここ数年、浮体式海上空港や防災基地、洋上風力発電など、超大型浮体構造の利用法について、さまざまな提案がされている。これに平行して超大型浮体の波浪中弾性応答問題についても、多くの研究が行われてきた。これらの研究の多くは局所的な剛性の変化は全体に比べると十分小さいとして、結合部などによる局所的な剛性変化を無視して検討されてきた。しかしながら結合部の形状が特殊なものや、異なる構造の浮体が結合されるような場合には、局所的な剛性の変化についても検討していく必要があると考えられる。  研究では結合部において剛性が変化する超大型浮体の波浪中弾性応答を解明するために、1/50スケール浮体模型による水理模型実験及び数値解析を行った。実験で使用した模型は複数のユニットを結合して構成されている。ユニット間の結合部はアルミニウム角材やボルト等を用いているため、結合部分における極端な剛性の変化が存在し、従来の方法による数値解析では正確な解析が難しいことが予想される。本研究で行った数値解析では東京大学において開発されたVODAC (Very Large Floating Structure Oriented Dynamic Analysis Code)を用い、その構造領域のモデル化においては、従来型の二次元的に梁要素を配置するモデルだけでなく、立体的に梁要素を配置するモデルについても検討を行い、剛性変化がある超大型浮体の波浪中弾性応答について検証を行った。  著者らは結合部等の影響により、浮体の剛性変化が大きな場合には、従来の鉛直方向の部材を無視した数値解析では計算精度が著しく低下することを確認し、結合部の鉛直部材まで考慮に入れて対象構造物をモデル化することにより、高い精度で数値解析が可能であることを示した。
全文 /PDF/no1135.pdf