研究について

研究成果

確率統計的手法による表法面コンクリート被覆構造物の変状遷移評価システム構築

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1131 2006年06月
執筆者 関根好幸、加藤絵万、横田弘、岩波光保
所属 地盤・構造部 構造強度研究室
要旨  社会基盤施設の整備において、要求性能の合理的かつ明確な設定および構造物の保有性能照査手法の確立が緊急に求められている。特に、供用中に進行する変状を信頼性設計に組み込むことによって、構造物のライフサイクルを考慮した性能照査技術の体系化が可能となる。本研究においては、表法面コンクリート被覆構造の海岸保全施設を対象として、マルコフ連鎖モデルを用いた確率統計的な解析手法に基づく変状遷移解析モデルを構築し、変状によるライフタイムリスクの経年変化を評価することを目的とする。  まず、海岸保全施設の変状に係わる既往の研究成果に基づき、表法面コンクリート被覆構造物に生じる変状事象を対象として、供用期間中に推移する変状レベルのモデルパターンを検討した。次に、このモデルパターン中、中詰土の吸出しによる空洞化の進展事象および波力による表法面被覆コンクリートの破壊発生事象に着目し、空洞化進展事象中の状態遷移確率を空洞化進展速度から設定し、波力による破壊発生確率を一次ガウス近似法で評価し、マルコフ連鎖モデルに組み込んだ。これにより得られた状態確率ベクトルで表される破壊確率を含む各状態確率により、構造物のライフタイムリスクの経年変化を評価した。確率統計的な手法による変状遷移評価システムの一例を提案し、試算によりその適用性が確認できた。
全文 /PDF/no1131.pdf