研究について
研究成果
確率台風モデルの構築とそれを用いた高潮の出現確率分布の試算
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1122 2006年06月 |
---|---|
執筆者 | 河合弘泰、橋本典明 |
所属 | 海洋・水工部 海洋水理・高潮研究室 |
要旨 | 過去半世紀に日本列島周辺に来襲した台風の属性値(位置、中心気圧など)の出現確率分布や自己回帰式を求め、これらに基づいて台風属性値をモンテカルロ・シミュレーションで与える確率台風モデルを構築した。この確率台風モデルの再現性を確認するために、台風の通過頻度や平均中心気圧の平面分布を求め、実際の台風によるものと概ね一致することを確認した。 次に、この確率台風モデルで発生させた台風を用いて、三大湾における台風時の気圧降下量や風速の出現特性と瀬戸内海における高潮の出現特性を調べた。さらに。気象庁の地球温暖化予測計算の結果を参考に、台風属性値の時間変化量の平均場が移動すると仮定し、同様な検討を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 1.三大湾では高潮対策施設の設計潮位に伊勢湾台風級のモデル台風による高潮を考慮しているが、東京湾より伊勢湾や大阪湾で中心気圧の低く風速の速い台風に遭遇しやすい。 2.確率台風モデルによって発生させた台風の中には、瀬戸内海に伊勢湾台風級のモデル台風による高潮を超える高潮を発生させるものもあった。 3.地球温暖化によって台風属性値の時間変化量の平均場が北へ移動したとすると、瀬戸内海では現在よりも大きな高潮偏差が発生しやすくなると考えられる。 最後に、より精度良く高潮の出現確率分布を推定するために必要な、今後の課題についても整理した。 |
全文 |
/PDF/no1122.pdf
|