研究について
研究成果
経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法-内陸活断層地震および海溝型地震への適用性の検討-
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1120 2006年06月 |
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執筆者 | 野津厚、菅野高弘 |
所属 | 地盤・構造部 構造振動研究室 |
要旨 | 前報(野津・長尾、2005)では、全国の港湾やK-NETの強震記録に対してスペクトルインバージョン(岩田・入倉、1986)を適用し、強震観測地点におけるサイト増幅特性の算定を行った。本研究では、経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法(古和田他、1998)を既往の内陸活断層地震および海溝型地震に適用し、強震記録の再現性という観点から、同手法の適用性を検討した。その際、前報で算定されたサイト増幅特性を用いた。同様の検討は前報においても一部試みているが、本研究ではより包括的な検討を行った。内陸活断層地震としては1995年兵庫県南部地震および1997年3月鹿児島県北西部地震、海溝型地震としては1968年十勝沖地震、1978年宮城県沖地震および2003年十勝沖地震を検討の対象とした。対象とした強震記録には八戸波や大船渡波、ポートアイランド波など著名なものも含まれる。 内陸活断層地震を対象とした検討では、既往の特性化震源モデルを用いることにより、0.2-2Hzの速度波形を良好に再現できることがわかった。特に、兵庫県南部地震の震源近傍における波形合成結果から、アスペリティに起因する大振幅の速度パルスが、本手法によっても良好に再現されることが示された。海溝型地震を対象とした検討では、今回独自に構築した特性化震源モデルを用いることにより、0.2-1Hzの速度波形を良好に再現できることがわかった。海溝型巨大地震による0.2-1Hzの帯域の強震動を予測するための震源のモデル化手法については、従来より様々な議論があったが、比較的シンプルな特性化震源モデルと経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法の組み合わせにより、この帯域の速度波形を説明できることが本研究により示された。 本稿は、経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法が実務に適用される際、参考資料として利用されることを意図している。そのため、最適な震源モデルに対する波形やスペクトルの一致度を示すほか、震源モデルの一部を変更した場合に結果がどの程度劣化するかについても極力示すこととした。また、本研究に使用した解析ツールを付録CDに収録しているので、活用していただければ幸いである。 |
全文 |
/PDF/no1120.pdf
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