研究について

研究成果

アーク形の矢板とトラスを有する新形式二重矢板護岸構造の水平抵抗性能の評価

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 045-02-03 2006年06月
執筆者 菊池喜昭、北詰昌樹、水谷崇亮、恩田邦彦、平嶋裕、木下雅敬、森玄
所属 地盤・構造部 基礎工研究チーム
要旨  鋼管杭とトラス材およびアーク状の直線型鋼矢板により構成される新形式鋼製壁式護岸、アークトラス構造を提案した。この構造は、構造合理性が高く経済性に優れていると考えられる。この構造形式の水平抵抗性能を評価するため、中型模型(1/10 スケール)を用いた水平載荷実験を実施し、水平抵抗性能評価法を検討した。その結果、以下のような結論を得た。 1) 本構造形式に水平荷重を作用させた場合には、杭の引抜き抵抗力が上限に達した後、地中部で杭が降伏し、最大荷重に達する。その間、脆性的な挙動を示すことはなく、最大荷重到達以降も急激に荷重が低下することもない。 2) 合理化したトラス構造(上部水平材および斜材1 本で構成)が、中詰土に比べて高いせん断剛性を有しており、背面からの荷重が適切に前面壁及び杭に荷重伝達されることを確認した。 3) 地表面から比較的浅い海側(前面)アークの根入れ部を設けることによって、大きな水平抵抗が期待でき、アークトラス構造の水平抵抗に寄与していることがわかった。  実験による上記の知見を考慮して、アークトラス構造を二次元モデルによりモデル化し計算を実施した結果、計算値は実験結果とよく一致しており、本計算モデルによる水平抵抗性能の評価が妥当であることが示された。
全文 /PDF/vol045-no02-03.pdf