研究について

研究成果

港湾コンクリート構造物における塩害環境の定量的評価手法に関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 044-03-02 2005年09月
執筆者 山路徹、中野松二、濱田秀則
所属 ライフサイクルマネジメント支援センター 特任研究官
要旨  本研究では、港湾コンクリート構造物(桟橋、岸壁、防波堤)において、暴露環境を考慮した耐久性能設計を行うために必要である表面塩化物イオン量C0の評価手法を確立することを目的として、全国の港湾コンクリート構造物における表面塩化物イオン量C0および暴露環境に関するデータ収集を行い、両者の相関関係について検討を行った。その結果、得られた知見を以下に示す。 1)港湾コンクリート構造物中に浸透していた塩化物イオン量は、地域や構造物形式により大きく異なっていた。その結果として、表面塩化物イオン量C0も大きく異なっていた。 2)各海水面(HWL,LWL,MSL)から部材表面までの距離とC0の関係を比較したところ、HWLとの相関性が高かった。 3)C0の評価は以下の式で推定可能となる。 C0=-5.9829*X+15.166 ここで、X:HWLから部材位置までの距離(m)、である。ただし、適用範囲については、今回データの得られた、0<X<2の範囲とする。 4)上式は平均的な暴露環境における評価式であり、構造物の重要度が高く、塩害による劣化の開始を極力遅くする必要があるような場合には、この評価式よりも大きな値を設定する必要がある。その際には、C0のばらつきを正規分布とみなし、C0の出現確率を考慮することで、C0の設定が可能となる。 5)3)の推定式および4)の手法を用いることで、より合理的な耐久性設計および劣化予測が可能となる。
全文 /PDF/vol044-no03-02.pdf