研究について

研究成果

メソコスム実験水槽を用いたアマモの生育限界光量に関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1108 2005年09月
執筆者 中村由行、細川真也、三好英一、桑江朝比呂、小沼晋、井上徹教、神尾光一郎
所属 海洋・水工部 沿岸生態研究室
要旨 アマモ生育に影響を及ぼす因子について、メソコスム実験水槽を用いて実験を行い、更にアマモ生物量変動解析モデルを用いる事で検討を行った。  メソコスム実験水槽におけるアマモ生育実験では、主に、アマモの株密度と葉条長の季節的変動と平面分布、水質、光量について調査を行った。また、泥面における直射日光の到達時間について解析を行った。この結果、メソコスム実験水槽におけるアマモは、水温が高くなる7-9 月において葉条長は短くなり、10-12 月にかけて葉条長・株数が増加する傾向を示した。これらは、既に報告されているアマモの生活史の傾向と概ね一致した。一方、水槽内の株密度分布について検討したところ、生長過程において特定の場所で顕著に高くなる事が示された。光量調査と直射日光の到達時間の平面分布より、水槽の覗き窓側は太陽光入射の影響を強く受ける事から株密度の増加に大きな影響を与えた事が示唆された。これらの結果を踏まえ、アマモの生育限界光量について検討を行った。本研究において示した葉の脱落量を考慮に入れた生物量維持光量は、有効な指標である事を示した。  最後に、メソコスム実験水槽に入射する光量の推定を行い、アマモ生物量変化式を用いた解析を行った。この結果、メソコスム実験水槽の本格運転開始後すぐに加入した付着藻がアマモの光合成を阻害していた事が示唆された。また、水槽の覗き窓側からの太陽光入射はアマモ生物量増加に大きく寄与している事が示された。
全文 /PDF/no1108.pdf