研究について

研究成果

沿岸風力照明柱の計画・設計に関する検討-点灯稼働率事前予測法の開発などについて-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1105 2005年09月
執筆者 永井紀彦,下迫健一郎,牛山泉,根本泰行,川西和昭,塚本泰弘
所属 海洋・水工部 海象情報研究室
要旨 風力照明システムのような現地利用型風力エネルギー活用システムの稼働状況(点灯稼働率)は、局所的な風況、発電容量、蓄電量、コントロールシステムの設定などに依存する。従来は、時空間的に変動が大きい風況を精緻に把握・予測することが困難であったため、発電容量、蓄電容量、コントロールシステムの設定などは経験的に設定するしかなく、このため、システムの稼働状況(点灯稼働率)を事前に適切に予測することができなかった。このため、風力にエネルギー源を求める現地利用型施設の稼働状況は、不確実性が大きいものとされ、このことが、風力エネルギーの有効活用を普及するための大きな問題であった。  本研究は、こうした問題の克服をめざしたものであり、久里浜港護岸近傍の風況観測データ、風力照明システム点灯稼働状況実証試験結果、および、近年開発された局所風況シュミレーションモデルを活用し、1.沿岸風況の局所的時空間変動の解明、2.発電・畜電効率の実証的検討、3.照明点灯稼働率の的確な評価といった観点の検討を経て、沿岸風力照明システムの合理的な点灯稼働率の事前予測を可能とするとともに、照明支柱群における合理的な風車・蓄電・制御システムの設定事例を示したものある。  本研究では、こうした最適設計法の検討に加えて、弱風時における風車の発電効率を確保するための工夫の一つである、コンセントレータについて、その効果を室内風洞実験で検討した。ここ結果、以下の場合に特に大きな出力増強効果が得られることが判明した。  1.コンセントレータ出口後方に風車ロータを配置した場合  2.コンセントレータ出口径を風車直径以下にした場合  3.コンセントレータ入口径が、風車直径に比べ十分大きい場合  さらに、沿岸部の越波による越流水が作用する位置に沿岸風力照明システムが設置される場合を想定し、照明支柱に作用する波力の試算を行い、本システムを防波堤や護岸上に設置する場合、風荷重に対する安定性だけでなく、波力に対する安定性の検討が不可欠であることが明らかになった。
全文 /PDF/no1105.pdf